Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 197.228 caracteres · 394 pantallas

Aozora Bunko

と、いったところ、鹿之介は喜悦して、すぐそれを受けたという噂なのである。

「……浅ましい犬」

「武士の風上にもおけぬ奴」

どんな口ぎたないことばをもって罵っても、罵り足らないように、聞く者はみな、「山中鹿之介幸盛」なる名を蔑んだ。

その名は、二十年も、敵たると味方たるとに関わらず、

==百難に屈せぬ孤忠義胆の武士らしき武士!

として、ふかく心に刻まれていただけに一層な憎しみも覚え、また買いかぶっていた自分の不明にも、忌々しさを感じるものらしかった。

草いきれ、人のうわさ、七月の暑い真盛りであった。

世の是々非々、あらゆる嘲罵にも、まるで耳のないような人――山中鹿之介は、その妻子や一族郎党と共に、周防の任地へ導かれて行った。

もちろん毛利家の将士が、数百名、前後について行った。案内としてではあるが、実は、警固であることはいうまでもない。いつ暴れ出すか知れない猛虎は、檻に入れて飼い馴らすまでは、決してまだ安心はないとしているふうであった。

日をかさねて、備中路へ入り、松山の麓、阿部の渡しへかかった時である。

「おつかれでござろう」

毛利家の天野紀伊守は、馬を降りて、鹿之介の傍らへ寄って来た。