Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

そして、唯々として命を奉じ、ふたたび前線へ出て、丸根砦の手強い敵を攻撃していた。

静かであった。清洲の城は、今夜もひそまり返った天地の中に、いつもの通り、無事な灯が点っていた。城下の領民は、

――ああ灯が点っている。

と、特にそれを見まもるのだった。

けれどそれは、今にも襲わんとする暴風雨の前の灯に見えた。そよとも動かないお城の樹々は、むしろ無気味な颱風の中心にかかった時の「死風」の静寂を思わせた。

城内からはまだ、何の布令も領民には出ていない。避難せよとも、抗戦の準備をせよ、ともいわれてない代りに、

(安堵せよ)

という布告もなかった。

商家はいつも通り店をひらいていた。職人は常の如く仕事していた。百姓も耕作していた。

けれど、街道の旅人の往還は、数日前からぴたと止まってしまった。

それだけに、町はさびしい。何となく落着かないものが漂っていた。

「西上して来る今川の大軍は、四万という大軍じゃそうな」

「どう防ぐおつもりやら。……織田様では」

「どうにも、こうにも、防ぎようはあるまい。何というても、今川勢に較べたら、十分の一ほどな御人数にも足らぬからの」