Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

弓之衆の一隊ではあるが、今日の合戦に、矢交ぜの戦いなどはないと見越して、みな槍を持っていた。

その中に、藤吉郎の率いる三十人の足軽小隊も交じっていた。休息ッ――という声が、部将からかかると、藤吉郎も、自分の組の者へ、

「やすめ!」

と、号令した。

はッと、みんな大きな息をつくと、ほとんど誰もが一緒に、尻もちつくように山陰の草の中へ、腰を落した。藤吉郎は、湯気の立つ顔を、雑巾のような手拭で、ぐるぐるこすっていた。

「おいッ、誰か、おれの槍を持っていてくれんか。この槍を」

彼がどなると、坐ったばかりの部下のひとりが、

「はッ」

と、起ってきて、彼の槍を預かった。そして藤吉郎の歩いて行く方へ、後から尾いて行くと、

「来んでもいい。来んでもいい」

「組頭、どこへお出でになるんですか」

「供は無用。糞しに行くのじゃ、くさいぞ、帰れ帰れ」

笑いながら、崖道の灌木の中へ、沈んで行った。

彼の部下は、藤吉郎のことばを冗談と思ったのか、佇んで彼の行方を見送っていた。

藤吉郎は、南向きの山の傾斜を少し降りて、山鳥が土を浴びる場所でも探すように、頃合な所を見つけると、悠々、腹帯を解いてしゃがみこんだ。