Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

いちかばちか、とにかく自分の希望を主張して、寧子の心の如何を問わず、娶いうけてしまおう――妻にしなければおかない――という彼らしい押しを試みてみたまでのことだった。

ところが。

(――木下様へなら)

と、寧子のことばだ。

しかも、父母の前で。

自分もいる前で。

何という勇気だろうか。親の又右衛門の驚きよりも、実は、藤吉郎自身が、胆をぬかれたくらい、茫然、歓びと疑いのなかに包まれて、帰って来たのだった。

帰り際まで、親の又右衛門は、あの呆れ顔と、苦虫をかみつぶしたままで、

(では、木下殿へ嫁げ)

とは、許さなかった。

(ぜひもないことだ)

と、娘の云い条に、是認も与えなかった。

むしろ嘆息の態で、

(――世のなかには物好きな者もあればあるものよ)

と、わが娘の心理に、当惑とあわれみと、それに、蔑みさえ持って、黙りきっているままだった。

藤吉郎も居辛くなり、

(いずれ、後日改めて、お願いに出るといたして)

と、帰りかけると、又右衛門は口重げに、初めて、こういった。

(ムム……。ま……考えておくとしよう。考えておく)

寧子へも、藤吉郎へも。

二人へ向って、そういった宣言であった。