Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

「下婢のする水仕事まで手伝ってするし、あの手で、箏も弾くし……」

藤吉郎は、中村の母親に、わたしの嫁はこういう女性であると、一日もはやく見せたい気がした。涎をたらさないばかりな顔である。その顔を垣へ寄せたまま、彼自身、眺め飽くことを知らない態であった。

井水を汲み上げる音がする。だが寧子は、水桶を提げずに、じっとこっちを振り向いていた。

「ア、気づいたかな?」

思う間に、彼女の姿は、井の側を離れて、裏の木戸のほうへ歩いて来た。藤吉郎は、胸に火を当てているように、熱い鼓動を覚えた。

「……?」

彼女が、そこの木戸を、そッと開けて、外を見まわした時、藤吉郎の影はもう、後も見ずに駈けていた。

遥かな、道の辻を、横へ曲る時、藤吉郎は振り向いて見た。白い顔が、怪訝そうに、まだ木戸の外に立っていた。

「…………」

恨むような眼がこっちを見ているようにも思われた。けれど藤吉郎は、とたんに、明日の卯の刻の旅立ちを考えていた。他言を禁じられている主君のお供である。寧子にもそれはいえないことであった。

彼女の無事を知り、姿を見、ここまで離れて来ると、藤吉郎はもう常の彼に立ち回っていた。