Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas
「十兵衛はどこにおる。十兵衛をさがし求めて来い」
光安入道は、味方の死屍のあいだを駈けながら、なお、生き残って防いでいる兵や将を見るたびにいった。
子の弥平治光春は?
とは一度も叫ばなかった。
「父上。父上」
と、その光春は父の身を案じながら、彼のすがたを、乱軍のなかに見出して、駈け寄って来た。すると、光安入道は、その子へ対しても、すぐいった。
「十兵衛は……十兵衛はいかがいたしたか」
「乾口の門で、敵と斬りむすんでおりまする。何といっても、お退きになりませぬ」
「しッ、死なすなッ……」
光安入道は、しゃがれ声で、子を叱しながら、乾口の坂道を、駈けて行った。
「あッ、父上ッ。――てまえが行きます。雑兵輩の中へ、御自身、お踏みこみなされいでも」
光春は、追いすがって、強って父を後方へ引っ返させた。そして、
「――お父上、お父上。裏山の穀倉か、水の手には、まだ焔はかかりません。あれに、しばらく」
「はやく行けッ。――十兵衛を死なしては」
光安入道は、なお、そう云いながら、裏山の森林へよじ登って行った。
光春はわが子である。ここで死なしてもいいと彼は自身の身と共に覚悟していた。