Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 190.406 caracteres · 381 pantallas

Aozora Bunko

鳴海城の城門が見えた時、夜は明けていた。

右近は、それと共に、

「着いた」

と思いながら、馬の背に俯つ伏したまま、意識を失っていた。

気がついた時は、城門の番卒たちに囲まれて、手当を受けている身だった。右近が息をふきかえして起つと、

「お気づきなされた」

「おお、この分なら――」

と、皆は愁眉をひらいた。

すぐ城内の奥へ告げられていたとみえ、左馬介の近侍たちが、二、三名、

「若殿はどこにおられる」

「どんな御様子?」

眼いろを変えて駈けて来た。

家臣らの驚きはいうまでもない。いや、より驚愕したのは彼の父左馬介であった。番卒たちに足もとを援けられながら、やがて本丸の庭まで歩いて来た右近を見ると、

「深傷か。浅傷か」

と、さすがに親心の声を制しきれず、庭に飛び降りて来た。

「父上」

と、父の姿を見ると、右近もそれへ坐ってしまった。そして、無念ですっといったまま、また昏睡しかけた。

「はやく、奥へ奥へ」

と、いいつけながら、左馬介も一緒に室内へかくれた。その面には、取り返しのつかぬものを悔いている色がいっぱいに漲っていた。

元々、右近を清洲城へ出仕させておいたことは、たえず心配なことではあった。