Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas
将来の抱負をもっていても、その希望のために、現在の足腰を浮かすまい。
現在から遊離して、将来のあるわけはない。希望は、なりきっている下っ腹において、上面に出すものではない。
ピピ、チチ、チチ……
森の小禽は、日吉の上で、囀っていた。だが日吉の眼は、小禽の啄んでいる木の実を見なかった。
「――やあ。御苦労」
やがて、小六が、森の奥から出て来て云った。
機嫌がいい。野望的な眼がかがやいている。そしてどんな重大なものを齎されたのか、緊張した後の醒めた面が、まだいくらか上気していた。
「すみましたか」
「すんだ」
「薦僧さんは?」
「もう帰った。べつな道から森を出て――」
小六はそういってから、ふと日吉を顧みて、
「他言するな」
と戒めた。
「はい」
「難波内記が――あの薦僧が、ひどく汝を賞めちぎっておったぞ」
「そうですか」
「いずれ一かどの者に取り立ててやる。いつまでも、蜂須賀におれよ」
その日、美濃の密使が齎した問題についてに違いない。夜になると、小六の邸には、一族の重立った者のみが寄って、更くるまで密議をしていた。
その晩も、日吉は、星の下に立ちきりで、忠実な張番役だった。