Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas
また常陸の塚原土佐守卜伝の名も、それに劣らないものだった。
武者修行の中にも、行脚の雲水よりひどいのもあるし、また、塚原卜伝の如きは、道中、常に六、七十人の供人を連れ、家来に拳に鷹をすえさせ、侍臣には、乗換馬を曳かせて、威風堂々と、諸国を遊歴してあるくような、武者修行もいた。
だから日吉は、きょうのお客の人数には驚かなかったが、これから半年もいることだったら、随分また猿々と追い使われて、眼をまわすことだろうと思いやられた。
案のじょう。
四、五日もたつとすぐ、
「やあ、猿。肌衣が汗くさくなった。洗っておいてくれ」
「松下殿のお猿。すまんが、膏薬を求めて来てくれぬか」
などと、自分らの下男のように日吉を追い使った。
お蔭で、夏の短夜を、日吉の寝る間は、なお僅かだった。
梧桐の下に、倚りかかって、日吉は居眠っていた。
夏の真昼の陽が、そこだけを僅かな日蔭にしていた。乾ききった地面に、松葉牡丹がぱらりと、そこここに赤く、動いているものは、蟻の列だけだった。
「…………」
だらんと首を横に、腕ぐみしたまま、眠っているのである。連日の寝不足で、やがて正体もない。