Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas

Aozora Bunko

「帰って来たら、そういって下さい。姉上にも、長いご苦労はかけません。今に、この藤吉郎が一かどになったら、繻珍の帯、金紋の箪笥、嫁入りに不足はさせぬと。……はははは、相かわらず、私のいうことは、とりとめないと、母上もお思いでしょうな」

「もう帰るのかや」

「お城仕えは、いちだんと厳しゅうございます。……それにな、母上」

と、藤吉郎は、声をひそめて、

「おうわさ申しては、勿体ないですが、一国一城の御主君という身も、お側近くに仕えてみると、なかなか下々の思うているようなものではありません。世間から見ている信長公と、那古屋城の中の信長公とは、たいへんな相違ですよ」

「そうであろうな」

「お可哀そうなくらいです。ほんとのお味方という者は幾人もありません。譜代の家来も一族も肉親までが、あらかた敵です。その中にいらっしゃる信長公は、まだ二十歳の孤君です。――百姓の喰えない苦しみが、一番辛いものだと思ったら、どうしてどうして、そんなものではありません」

「勿体ないのう。……まだわし達は」

「そう思えば、御辛抱もできましょう。が、人間と生れたからには、それでいいものではありません。