Clásicos japoneses con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas
「……さては、それで」
と、中務は、初めて解けたが、さてさて、困ったものと、当惑の顔いろだった。
不興を蒙った五郎左衛門も、以来、出仕止めとなって、謹慎しているらしいし、その余波で、自分の言は、まったく信長の耳へ、真っ直ぐに通らなくなったように思われる。
柴田権六勝家、林美作などという、常に、一方に立つ家臣はまた、
(この機に)
とばかり、信長に媚びて、甘言をすすめるため、主君と中務父子の間は、なおさら濠を深められた形となった。
二十日あまりの幽居のあいだに中務はしみじみ、自分の老いを知った。
君側には、柴田権六や、林美作などの、新しい勢力が興っている。
その力は若かった。
中務は、四十年の忠勤のつかれで、もうその人々と、闘う精はなかった。
だが、自分の老いを知れば知るほど――孤君信長の前途と、主家の将来は、強く案じられて来た。
なお、その老後の骨を、孤君のために、用いようとして、この二十日余りを、籠っていたのであった。
「お二方、お揃いで、ただ今お見えになりました」
用人の勘解由が、やがてまた、彼の居間へ告げて来た。
「そうか。今参る」
と、答えておいて、中務は何か書きものをしていた。