Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lee 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 180.256 caracteres · 361 pantallas

Aozora Bunko

たまたま、参詣にのぼって来る年よりや村の女たちも、

「あれ、猿が」

と、指さして、

「よい気味や」

と、笑い合ったり、からかって逃げた。

いつとなく彼の小さいたましいは、今にみろ、今にみろ、と呟くことを独り慰めにしていた。

また、その小さい肉体は、伽藍の太柱を背に背負って、かえって体じゅうに、沸り立つような強い血をよび起した。

その二つのものを、唇にむすび、自分の憂き目へ向って、

「なにくそ」

と、不敵な顔を作った。

柱によりかかって、彼は睡ってしまった。――そして自分の涎に目がさめた。

恐ろしく日が永い。

日吉は、退屈してきた。

そのうちに彼はふと、まだ眼のまえに突きつけたまま置いてある――二つに割れた陶器の大香炉に眼をすえ出した。

香炉の底には、

五郎大夫

祥瑞之製

と、小さい文字で作者の名が記してあった。

瀬戸村は近いし、尾張付近は陶器の産地である。そんな物はもとより何も彼の興味をひきはしないが、その大香炉の腰に描いてある藍絵の山水が、

「どこだろ?」

と、退屈な眼に、想像をほしいままにさせたのである。

白磁に藍一色で画かれている山や石橋や、楼閣や人物や――そして日本では見たこともない船の型や人間の着物が――ひどく彼の頭をなやました。