Clásicos japoneses con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lee 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 155.541 caracteres · 305 pantallas
はその事のあり得べきを察した、ここはなにを措いても、国民の理想のあるところをはっきりと天下に示さなくてはならぬ場合だ」
幕府に大政奉還の切札ありということは、ゆうべ秀之進も大助に云った。期せずしておなじ言葉が宗兵衛の口から出たのである。秀之進はそれを偶然だとは思わなかった。父に眼があるなら当然のことだと思った。
「おれは帰国のお供を辞退しようとしたが、どうしてもお許しがなかった、脱藩することは知っているが、睨まれているおれの脱藩はすぐさま事のやぶれになる、義旗のもとに死ぬのは望むところだが、脱藩の罪で死んでは真実が闇へ葬られるだけだ、しかも多くの同志をも道伴れにしなければならぬとすると、冒すべき危険は大きすぎる」
「危険と申すよりも、それは無謀に近いと存じます、為さんとする意義さえたしかなれば誰が為すかは重大ではありません、かれらは充分やると信じます」
「おまえはどうだ」ずばりと斬り込むように、宗兵衛は秀之進の眼をつよくみつめながら云った、「太橋と木曽から大阪へゆくというが、おまえはみんなと事を倶にするつもりはないのか」
「……それは」
秀之進はちょっと眼を伏せ、そのことはなんとも申上げられませんと云った。