Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lee 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 155.541 caracteres · 305 pantallas

Aozora Bunko

やがてどうしてか、笛の音がはたと杜絶えた。

どうなさいました、梅八がそう云おうとしたとき、格子戸が明いて竹亭寒笑の声がした。はいって来るのを見ると、ひどく仔細らしい顔で、風呂敷包を抱えていた。

「若旦那はもうお立ちですか」

「緞帳芝居でたてを弾きあしまいし、ものを云うなら坐ってからにおしな、お嬢さんのいらっしゃるのが見えないのかい」

「坐りゃあいいんでしょう」寒笑は坐った、「どうもげせねえ、おいらがちょっと顔を出せば待ってましたと許りにお小言だ、へえ坐りました、生かすとも殺すとも」

「うるさいねえ暑いんだからそう吠えなさんな」

「吠える、……なるほど、然しものには云いようもあり聞きようもありやすからな、和言で聞けば犬の遠吠だが、これをヨーロッパの言葉で解けば、ホウエルてえと、……つまりその、なんでさあね、鯨だかなんだったか、そのう」

「鯨も毛物だそうだから吠えるには違いないじゃないか、別に威張るほどのことでもないだろう」

「仰しゃるとおりでげす、ところで柿崎さんのお嬢さん」旗色が悪いので彼はこう向きを変えた、「いま笛の音がしていたようですが、お嬢さんのお嗜みですか」