Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas

Aozora Bunko

。こうした世の中で、たった一片のパンを盗んだ男が十九年も牢へはいっている事も妙だ。

たった一片のパンで、十九年の牢獄生活に耐えてゆく、人間も人間。世の中も世の中なりか。

駄菓子屋へ行って一銭の飴玉を五ツ買って来る。

鏡を見る。愛らしいのだが、どうにもならぬ。

急に油をつけて髪をかきつけてみる。十日あまりも髪を結わないので、頭の地肌がのぼせて仕方がない。

脚がずくずくにふくらんできた。穴があく。麦飯をどっさりたべるといい。どっさり食べると云う事が問題だ。どっさりとね……。

ナポレオンのような戦術家が生れて、どいつにもこいつにも十年以上の牢獄を与える。人民はまるでそろばん玉みたいだ。不幸な国よ。朝から晩まで食べる事ばかり考えている事も悲しい生き方だ。いったい、私は誰なの? 何なのさ。どうして生きて動いているんだろう。

うで玉子飛んで来い。

あんこの鯛焼き飛んで来い。

苺のジャムパン飛んで来い。

蓬莱軒のシナそば飛んで来い。

ああ、そばやのゆで汁でもただ飲みして来ようか。ユーゴー氏を売る事にきめる。五十銭もむつかしいだろう……。

良心に必要なだけの満足を汲み取りか、食慾に必要なだけの金を工面して生きてゆくことにも閉口トンシュでございます。