Clásicos japoneses con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lee 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.330 caracteres · 497 pantallas
只それが知りたいだけだ
人非人と同様の土ぼこりの中に
視力の近い虹の世界が
いっぱい蝸牛をふりおとしている
一つ一つ転げおちて草の葉の露と化して
茫の世界に消えてゆく
悪企みは何もないもろい生き方
血と匂いを持たぬ蝸牛の世界
ああ夢の世界よ
夢の世のぜいたくな人達を呪う
何のきっかけもない暑い夕陽の怖ろしさ。
私はぱりぱりに乾いてゆく傘の下で、じいっと赤い夕陽を眺めていた。
*
(九月×日)
飲食店にはいって、ふっと、箸立ての汚ない箸のたばを見ると、私には卑しいものしかないのを感じる。人の舌に触れた、はげちょろけの箸を二本抜いて、それで丼飯を食べる。まるで犬のような姿だ。汚ないとも思わなくなってしまっている。人類も何もあったものではない。只、モウレツに美味いと云う感覚だけで鰯の焼いたのにかぶりつく。小皿のなかの水びたしの菜っぱの香々。
いつまでも私は不安だ。卑しくて犬のように這いずりまわっているくせに、もう、死んでしまいたいと思うくせに、誰かをだましてやろうと思っているくせに、私には何の力もない。袖口も、襟もとも垢でぴかぴか光っている。いっそ裸で歩きたい位だ。