Clásicos japoneses con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lee 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 138.172 caracteres · 277 pantallas
なんでも、その時の話に、おでんという女は伝法な毒婦じゃなくって、野暮な、克明な女だから、そういうふうに演るっていったことだが――そうかも知れないね。お伝は、上州沼田というところの御家老の落し種で、利根の方の農家のところで生れたのだそうだから。」
「でも、お師匠さん、すこし根下りの大丸髷に、水色鹿の子の手柄で、鼈甲の櫛が眼に残っていますって――黒っぽい透綾の着物に、腹合せの帯、襟裏も水浅黄でしたってね。そうだ、帯上げもおなじ色だったので、大粒な、珊瑚珠の金簪が眼についたって。」
朝、目が覚めて、蚊帳から出た時に、薄暗い庭の植込みに、大輪な紫陽花の花を見出すと、その時の九女八のおでんが浮びあがるといったことや、それは、浅草蔵前の宿で、病夫浪之助を殺して表へ出た時の着附だったか、捕まる時のだか、そんなことはもう、朧げになってしまっているといってたのを、はなした。
「お師匠さんは、あんな役、厭いなんでしょ。」
「まあね、いって見れば、あたしは、女団洲と呼ばれたくらいだし、自分でも、団十郎のすることの方が好きだから――わかりもしないくせに、高尚ぶってるといわれたりしたけれど、もともとお狂言師は、生世話物をやらなかったからねえ。