Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lee 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 138.172 caracteres · 277 pantallas

Aozora Bunko

外で演奏する時には、ゆったりした王朝式の服装と、被りものであるが、今日のように平服のときは、便々たる太鼓腹の下の方に、裾の広がらない無地の木綿のような袴をつけている。

寛々と組んだ安坐の上に、私たちの稽古琴を乗せて、ばらんと十三本の絃を解いた。

「山の手におると、乾くような気がすると、八千代さんはいうているなあ。此家へくると、ジュウっと、水が滲みわたるようじゃというてたが、わしもそう思います。」

「岡田八千代さんは、水がすきで、御飯へもかけて食べますもの、夏は氷で冷たくしたのを。」

「や、そか?」

鼓村師の、大きな体と、ひろびろした頬をもつ顔に似合わない、小いさな眼が、箏の上に顔ごとつきだされた。

「水は好いもんじゃなあ、麹町の家の崖に、山吹が良う咲いているが、下に水があると好えのじゃが――」

椽に栗山桶がおいてあって、御簾のかかっている家の話に移っていった。

そういううちにも大きな掌は、むずと、十三本の絃をいちどきに握って、ギュンと音をさせて締めあげた。

それから一絃ずつ、右の片手の、親指と人差指に唾をつけては絃をくぐらせて、しっかり止める始末をしてゆくのだった。