Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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にちにちへいあん

日日平安

山本 周五郎

Lee 日日平安 (にちにちへいあん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.297 caracteres · 56 pantallas

Aozora Bunko

十郎太は旅嚢の中からそれらを取出して渡し、黒い目出し頭巾をかぶって出ていった。

「さて、これで位置は定った」とあとに残った菅田平野は独りで呟いた、「――おれはまじめにならなければいけない、自分を英雄ぶったり、傑出した人物だなどと思ってもいけない、おれは単に腹のへっている浪人者だった、そうではないか、切腹のまねまでして、一食の銭にありつこうとしていた人間だ、決して英雄でもなければ大人物でもない、わかるか」そうして片手で尖った顎をなでた、「いまは軍師の位置についたのだ、これはもうたしかなことだ、あとはこのへぼ頭からどれだけの知恵が出せるか、しかもごく短時間のうちに、……これが問題だ、これだけが問題だ、ひとつ考えてみよう」

彼は提灯をのぞいた。蝋燭は(夜食のまえに替えた)まだ充分にある。彼は乾し草の束をいいぐあいに直し、矢立から筆を抜いて、料紙をそこへひろげた。するとそのとき、ふいに引戸があき、明るい提灯の光りがさし込んだ。

「そこにいるのは誰だ」

こう云って、提灯をかかげて、一人の侍が入って来た。おそらく黒藤一味の見張り役であろう、「邸内に五人いる」と云ったが、その一人に違いない。