Clásicos japoneses con furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lee 日本の諸国物語 (せっしょうせき) de 楠山 正雄 (くすやままさお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 75.040 caracteres · 158 pantallas
じめじめとしめっぽいような風が吹いて、しんと静まり返った底から、かすかに谷川の音が響いてきました。つたやかつらの気味悪く顔にまつわりつくのを払いのけて、たびたびこけに滑りながら、やっとお社の前まで出ますと、もうすっかり雨風に破れた古いほこらが一つ、そこに立っていて、どこからくるともなく、血なまぐさいような風が吹いてきました。
六部は、「ははあ、これが人身御供を取る神だな。いったいどんな様子なのか知らん。」と思って、中をのぞいてみましたが、真っ暗で何も見えませんでした。
この六部はもとはりっぱなお侍で、わけがあって六部に姿を変えて諸国をめぐり歩いているのでしたから、それこそ大抵のことには驚かない強い人でした。その時、六部は、「どうも神さまといっているが、これはきっと何かの悪い化け物に違いない、ちょうど幸い今夜はここに一晩泊まって、悪神の正体を見届けてやろう。」という決心をしました。それで、どこかかくれる所はないかと思って見回しますと、お社のじきわきに、三抱えもあるような大きな杉の木がありました。その中はちょうど人一人入れるくらいのうつろになっていました。