Clásicos japoneses con furigana
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はんぎゃく
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
矢田 津世子
Lee 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.512 caracteres · 34 pantallas
「親に心配させるようなお前じゃないのにねえ、一体、どうしてこられなかったい?」
お松はまじまじと息子を見た。二タ月の間に、全で別人のように変っている。この髭面、この服装、この無愛想。あの模範職工の几帖面はどこへ失せてしまったろう……。
「工場が忙しいのかい?」
「うん……兼坊はどうしたい。どこへ行ったんだい?」
「先生のお部屋だろう」
「役者のとこか。おっ母ア、気をつけなくちゃいけねえぜ。兼も十七だからなア――」
「役者って、お前、誰れのことを云うの」
「解ってらア、此処の教会の狐野郎のことよ。祭壇の上で芝居をやる役者だろうじゃねえか。そだろう。おっ母ア」
「ま、何を云うの……」
お松の唇が細かく慄えた。眼が注意深く周囲を見廻した。
「お前は、お前は、悪霊に憑かれているんだ。サタンがお前に云わせるんだね。ね、そうだろう。欽や、早く神様にお赦しを乞いなさい。おお神様、私の愚かな小羊をお赦し下さいませ。貴方のみ力によってこの小さきものから悪霊をお取り払い下さいまし……」
「止めなよ。おっ母ア、狐に向って祈ったところで始まらねえ。狐にア油揚が一番利くのさ、神様なんてありアしねえ。