Clásicos japoneses con furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lee 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 192.678 caracteres · 394 pantallas
「云いがかりですよ」
「いや、ほんとかも判らん、あれは、そんなことをする畜生だ」
広巳の声が大きくなりかけたので、定七はあわてて掌をその口へ持って往った。
「聞えますよ」
「聞えたっていいや」
「ま、若旦那」
客座敷の声がまた聞えて来た。
「おい、何時まで黙ってるのだ、しびれがきれるぜ、御主人、鮫洲の大尽君、女をくれるか、厭か、返事をしてくれないのか」
「返事もしますが、家の家内が、何日、どこで、そんなことをしたでしょうか」
「日か、五六日前だ、入用がありゃ云ってやる」
「五六日前」
「そうだ」
「それはどこでしょうか」
「大福帳へでも書きつけるつもりかね」
広栄は返事をしなかった。
「書きつけたけりゃ、はっきり云ってやるが、場所は、池上の魁春楼だよ」
「池上の魁春楼」
「そうだよ、その日、君の細君は、婆さんを伴れて、壮い馬の脚をくわえこんでいるところを、壮い奴にひどい目に逢わされて、困ってたから、吾輩が慰めに往ってやって、すまないがそれからだよ」
「そうか」
「判ったかね」
広栄は何も云わなかった。広巳は狂人のように室を飛びだした。飛びだすひょうしに体が障子に衝つかって大きな音をたてた。