Clásicos japoneses con furigana
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はえ
日輪 春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lee 日輪 春は馬車に乗って 他八篇 (はえ) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 6478 caracteres · 14 pantallas
次の日もまたその次の日も、そしてそれからずっと吉は毎日同じことをした。
ひと月もたつと四月が来て、吉は学校を卒業した。
しかし、少し顔色の青くなった彼は、まだ剃刀を研いでは屋根裏へ通い続けた。そしてその間も時々家の者らは晩飯の後の話のついでに吉の職業を選び合った。が、話は一向にまとまらなかった。
或日、昼餉を終えると親は顎を撫でながら剃刀を取り出した。吉は湯を呑んでいた。
「誰だ、この剃刀をぼろぼろにしたのは。」
父親は剃刀の刃をすかして見てから、紙の端を二つに折って切ってみた。が、少し引っかかった。父の顔は嶮しくなった。
「誰だ、この剃刀をぼろぼろにしたのは。」
父は片袖をまくって腕を舐めると剃刀をそこへあててみて、
「いかん。」といった。
吉は飲みかけた湯を暫く口へ溜めて黙っていた。
「吉がこの間研いでいましたよ。」と姉は言った。
「吉、お前どうした。」
やはり吉は黙って湯をごくりと咽喉へ落し込んだ。
「うむ、どうした?」
吉が何時までも黙っていると、
「ははア分った。吉は屋根裏へばかり上っていたから、何かしていたに定ってる。」
と姉は言って庭へ降りた。