Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lee 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.813 caracteres · 302 pantallas
大塚さんは春らしい日の映った庭土の上を歩き廻って、どうかすると彼女が子供のように快活であったことを思出した。
そうだ。優しい前髪と、すらりとした女らしい背とを持った子供だった。彼女が嫁いて来たばかりの頃は、大塚さんは湯島の方にもっと大きな邸を持っていたが、ある関係の深い銀行の破産から、他に貸してあったこの根岸の家の方へ移り住んだのだ。そういう時に成ると、おせんは何をして可いかも解らないような人で、自分の櫛箱の仕末まで夫の手を煩わして、マルを抱きながら、それを見ていたものだ。それほど子供らしかった。ああいう時には、大塚さんはもう嘆息して了った。でも、この根岸へ移って落着いてからは、春先に成ると蓬の芽を摘みに行くところがあると悦んで、軽々とした服装をしては出掛けて行って、その帰りには菫の花なぞを植木屋から買って戻って来た。その無邪気さには、又、憎むこともどうすることも出来ないようなところが有った。
こういう娘のような気で何時までも居て、時には可愛くて可愛くて成らなかったおせんが、次第に大塚さんには見ても飽き飽きする様な人に変って行った。彼女と別れる前の年あたりには、大塚さんは何でも彼女の思う通りに任せて、万事家のことは放擲して了った。