Clásicos japoneses con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lee 春いくたび (はるいくたび) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 70.094 caracteres · 142 pantallas
私もおまえも、百姓も町人もみんながただ天子様お一人を上にいただいて、お国のために命を投げ出すべきときがきているんだ。――それがわからぬ者は国賊だ、天子様の仰にそむく不忠者だ、私たちはその不忠者を討つためにたたかっているんだ。
おまえがもしほんとうに日本人なら、私のいった言葉がわかるはずだ、梟谷は土生一族のものではない、天子様のものだ、おまえは天子様の国の娘なのだ」
半九郎は言葉を切っていった。
「私はもうすぐここから出発する、もう二度とあうことはないだろう。……よく考えて、私のいったことがわかったら、天子様のために、日本のお国のために、立派な少女になるようにいのっているぞ」
そういいおわると、半九郎は静かに外へ出て行った。
お糸は眼を閉じていた。
いろいろな考えが頭のなかで渦のようにくるくるとまわった。――今日まで知らなかったことが、まるで夜の明けるようにだんだんとはっきりしてきた。……知らなかったのだ、ほんとうに知らなかったのだ。天子様のことも、お国のことも、自分には縁のない遠いところのこととしか思っていなかった。
けれど今こそいろいろなことがわかった。