Clásicos japoneses con furigana
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はるのやま
春の山
久生 十蘭
Lee 春の山 (はるのやま) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 8782 caracteres · 18 pantallas
「金をもらいに来たわけじゃ……東京の奥さまから、なにか聞いちゃ、いなかったですか」
「なにも聞いていなかったよ」
由さんはむずかしい顔になって、
「しょうがねえな」
と舌打ちをすると、じゃ、またそのうちにといって帰って行った。
二時間ほどすると、小坪の吉青年がやってきた。
「先生、居るかね」
仕事をしているところへ上がりこんできて、ふてぶてしい恰好であぐらをかくと、
「ちょっくら、見てもらいたいものがあって、持ってきた」
「吉あんちゃんか、なにを持ってきた。この辺の土出なら、もうたくさんだ」
「そんなものじゃねえ、びっくりするなよ」
横風なことをいいながら、鬱金の布に包んだ丸味のあるものを、脇間の床の上に置いた。
立杭焼の古いものだが、ガラス壺に合格せず、穴窯の外に捨てられたものらしく、歪んでかたちが崩れ、底に食っつきがある。こんな半端ものは、上下の両立杭や釜屋に行けば、十円もしない出来損いだが、よく見ると、彎曲してかたちの崩れた小判形が、まんざらではない。水簸せず、荒地のままで使っているから、いちめんに石ハゼが出ているのも面白い。窯の中で松の灰かなにかが落ちかかり、それが硝子化したのが、青い美しい色になって一筋流れている。