Clásicos japoneses con furigana
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しゅんせつ
春雪
久生 十蘭
Lee 春雪 (しゅんせつ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.672 caracteres · 23 pantallas
「たしかに戦争をしているんだが、真の意味の戦争ではないようだな。こちらだけが、無際限にやられるというんじゃ、これはもう、なにかべつなことだよ」
「このあいだから、あたしもそんな気がしているの……あたしたち、ミナゴロシになるのね。爆撃で死ぬか、焼け死ぬか、射ち殺されるか……それは覚悟していますけど、無宗教のままで死ぬのが、怖くてたまらないのよ」
兄の細君は、代々、京都のN神社の宮司をしている社家華族からきたひとで、柚子の祖母は先帝のお乳の人、伯母は二人とも典侍に上っているという神道イズムのパリパリで、柚子の家の神棚には、八百万の神々のほかに、神格に昇進した一家眷族の霊位が、押せ押せにひしめいているという繁昌ぶりだった。
「無宗教って、お前のところは、たいへんな神道じゃないか。それではいけないのか」
「だって叔父さま、神道は道……自然哲学のようなもので、宗教じゃないんでしょう」
つまるところ、じぶんの気持にいちばん近いのは基督教だから、大急ぎで洗礼を受けたい。それに立会ってもらいたいということなのだが、兄がいたら、とても、ただでは置くまい。ひょっとしたら、一刀両断にもしかねないところだ。