Clásicos japoneses con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lee 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 158.540 caracteres · 319 pantallas
その矢先に又一つの新しい問題が起った。それは此の年の七月から新しい布達があって、諸大名の妻女も帰国勝手たるべしということになったので、どこの藩でも喜んだ。一種の人質となって多年江戸に住んでいることを余儀なくされた諸大名の奥方や子息たちは、われ先にと逃げるように国許へ引きあげた。勿論この屋敷でも奥方を領地へ送ることになったが、乱心同様の奥方が道中に狂い出したらばどうするか、国許へ帰っても今のありさまであったらばどうするか。それがみんなの胸に横たわる苦労の重い凝塊であった。そこで評議がまた開かれた。その評議の結論は、どうしてもお蝶を遠い国許まで連れて行くよりほかはないということに帰着した。
併し今度は殆ど永久的の問題で、さすがに無得心で連れ出すわけには行かないので、ともかくも本人や親許にも相談の上、一生奉公の約束で連れて行くことになった。奥女中の雪野がその使をうけたまわって、きのうも親許へたずねて来たのであった。いっそ最初からあからさまに事情を打ち明けたら、こっちもまた分別のしようがあったかも知れなかったが、ひたすらに御家の外聞という事ばかり考えていた雪野は、何事も秘密ずくめで相談をまとめようと焦っていた為に、こっちの疑いはいよいよ深くなった。