Clásicos japoneses con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lee 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 201.612 caracteres · 405 pantallas
しかもそれはゆうべのことで、神田川の網船屋の船頭の千八というのがおなじみの客をのせて隅田川の上の方へ夜網に出た。客は本郷の湯島に屋敷をかまえている市瀬三四郎という旗本の隠居であった。あずま橋下からだんだんに綾瀬の方までのぼって行ったのは夜も四ツ(午後十時)をすぎた頃で、雨もひとしきり小歇みになった。もちろん濡れる覚悟であったから、客も船頭も蓑笠をつけていたが、雨がやんだらしいので隠居は笠をぬいだ。笠の下には手ぬぐいで頬かむりをしていた。
「素人は笠をかぶっていると、思うように網が打てない」
隠居は自分でも網を打つのである。今夜はあまり獲物が多くないので、かれは少し焦れ気味でもあった。
「網を貸せ。おれが打つ」
船頭の手から網を取って、隠居は暗い水の上にさっと投げると、なにか大きな物がかかったらしい。鯉か鯰かと云いながら、千八も手つだって引き寄せると、大きい獲物は魚でなかった。それはたしかに人の形であった。水死の亡骸が夜網にかかるのは珍らしくない。船頭はこれまでにもそんな経験があるので、又お客様かといやな顔をした。かがり火の光りでそれが男であることを知ると、彼はすぐに流そうとした。