Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう

本州横断 癇癪徒歩旅行

押川 春浪

Lee 本州横断 癇癪徒歩旅行 (ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう) de 押川 春浪 (おしかわしゅんろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.749 caracteres · 45 pantallas

Aozora Bunko

疲れて足を引摺り引摺り、だんだん山道に差し掛かる。道は少しも険阻ではないが、ただ連日の大雨のため諸所山崩れがあって、時々頭上の断崖からは、土石がバラバラと一行の前後に落ちてくるには閉口閉口。一貫目位の巌石がガンと一つ頭へ衝ろうものなら、忽ち眼下の谷底へ跳ね飛ばされ、微塵となって成仏する事受合だ。ああ南無阿彌陀仏南無阿彌陀仏。現に久慈川のとある渡船場付近では、見上ぐる前方の絶壁の上から、巨巌大石の夥しく河岸に墜落しているのを見る。この絶壁下には先頃まで鉱山事務所があったのだが、轟然たる山崩れと共にその事務所はメチャメチャになり、一人の技手は逃げ損って蛙のごとくに押潰され、その片腕とか片脚とかは、かの巨巌の下に今なお取出す事が出来ず残っているという事だ。これには流石の髯将軍も首を縮めて、お得意の奇声を放つこと飢えたる豚のごとし。

この渡船場で滑稽な事があった。河水はさまで氾濫していなかったが、渡船に乗って向うの岸に着き、

「船頭、いくら遣ろう」と訊けば、

「一人前四銭ずつだ」と、黒鬼のような船頭は澄ました顔をしている。

「そうか、高い渡船銭だな」といいながら、八人前三十二銭渡して岸に上ると、岸上の立札には明かに一人前一銭ずつと書いてある。