Clásicos japoneses con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lee 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 104.300 caracteres · 202 pantallas
「よくわかるわ、幸太さん、あなたは本当におせんを想って呉れたのね、――庄さんがお嫁さんと歩いているのを見たとき、あたし躯をずたずたにされるような気持だったの、苦しくって苦しくって息もつけなかった、……胸が潰れてしまいそうな苦しい辛い気持だったわ、幸太さん、あなたの云って呉れたことが、そのときはじめてわかったのよ、――あなたの苦しいといった気持が、辛かったと云った気持がどんなものだったか、そのときはじめてあたしにわかったのよ」
おせんは噎びあげながらそう云った。高く高く、月を孕んだ雲の表を渡る鳥があった。なにか秘めごとでも囁くように、岸を洗う水の音が微かに聞えていた。
「かんにんして頂戴、幸太さん、あたしが悪かった、あたしがばかだったのよ、――庄さんにあんなことを云われるまで、あたしあなたが好きだったと思うの、だってあなたには遠慮なしに話ができたし、ずいぶん失礼なことも頼んだりしたじゃないの、あなたならなにを頼んでもして貰える、頼んだ以上のことがして貰えるって、ちゃんと知っていたんだわ、……幸太さん、あんなことさえなければ、おせんはあなたの嫁になっていたかもしれないわね、杉田屋さんのおじさんもおばさんもそのお積りだったんですもの、そうすればいまごろは……」