Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
Lee 桜の森の満開の下 (つちのなかからのはなし) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 76.558 caracteres · 153 pantallas
旅人が慄然として頭をあげると、姿はもはや見えないが頭上のくさむらをわけ灌木の中をくぐって逃げて行く者の気配がはっきり分った。
「あいつですよ。ゆうべ私と酒をのんでいた女、突然貴方の部屋へおしかけていった農婦です」
咄嗟の出来事にこれも面喰って足速やに駈けつけた禅僧は、蒼ざめ、つきつめた顔をかすかに痙攣させながら旅人に言った。
「あいつは貴方に気があるのです。いいえ、貴方に限らず、初めて会った男には誰にしろ色目をつかい、からかいたい気持を懐かずにいられぬのです。恐らくあいつは今朝早くからあの岩角へまたがり、石をだきながら貴方の通るのを待ちかまえていたのでしょう。楽しい気持ちでいっぱいで、その石が貴方に当って怪我をさせたらどうしよう、ということはてんで頭になかったに違いないのです。二年前のことですが、やっぱりこういう山径を好きな男と肩を並べて歩いているうちに、突然男を谷底へ突き落したことがあるのです。幸い男は松の枝にひっかかって谷へ落ちこむことだけはまぬかれましたが、松の枝にぶらさがって男が必死にもがいていると、あいつは径に腹這いになって首をのばし男の様子をキラキラ光る眼差しで視凝めながら、悦楽の亢奮のため息をはずませていたという話があるのですよ。