Clásicos japoneses con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.078 caracteres · 285 pantallas
「なにか伝言はなかったか」
「伝言はございませんでしたが、矢崎舎人はどうしているかと訊かれましたので、雁屋信助かたに寄宿していることを申上げました」そう云って、喜兵衛はちょっと口ごもりながら続けた、「私は、中田の宿所で一夜泊り、今朝早く房川の渡しで御一行と別れて来たのですが、二百五十余人というお供立を、御存じでございますか」
「知っている、それは老中にもうかがって、差支えなしということになったのだ」
「私は存じませんので、その人数にも驚きましたが、涌谷さまはじめお供の人々の、あまりに意気ごみ、緊張していることに吃驚いたしました、まるで、いまにも一と合戦始めようというような感じなのです」
「そうみえたことはふしぎではない」と甲斐は云った、「おそらく、小者の末までもそういう覚悟でいることだろう」
「それにしても、涌谷さま御身辺の警戒ぶりは尋常とは思えません」と喜兵衛が云った、「聞きましただけでも、不寝の宿直番が毎夜十人、米、味噌は涌谷から持って来たものを使い、茶から食事までぜんぶ家従の料理人がやる、宿屋で出すものは白湯一杯も口にしない、というのは、毒害のおそれがあるから、というのです」