Clásicos japoneses con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 167.285 caracteres · 330 pantallas
かよは誕生を過ぎたばかりであるが、もう達者に歩くことができるし、舌たらずながら、おしゃまな口をきいた。
「おりる、おりるのよ、ばあ」
かよは乳母の手からおりて、甲斐の膝へあがろうとした。おくみはいちじくの皮を剥きながら、いけません、と首を振った。
甲斐が子供を好かないのを、おくみは知っていた、かよが生れたときにもよろこんでくれたし、この家へ来れば抱いたり、あやしたりしてくれる。けれども、かよを見る甲斐の眼の奥に、その柔和な微笑の裏に、かなしいほど冷たい、嫌悪の色があるのを、おくみはたびたび認めたのであった。
「たあたま、抱っこね」とかよはとりついてあまえた。
「よしよし、抱っこしよう」
「かよさん」とおくみが云った。
甲斐はかよを膝の上に抱いた。
かよは母に似ていた。しもぶくれに、ふっくりとおもながで、摘んだように口が小さく、両の頬に深くえくぼがよれる。眉毛は尻あがりであるのに、眼尻は少しさがっていて、その眼はいつも笑っているように見える。甲斐に似ているのはえくぼのよれるところで、そこはちょうど、甲斐の両頬にできる深い皺と、同じところであった。
かよは父親の手を持ち、その指をもてあそびながら、かた言でしきりにお饒舌りをしていた。