Clásicos japoneses con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lee 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 148.519 caracteres · 296 pantallas
ぐらいのことは云ったであろう。こちらは浪人の八十島主計でとおしたし、雅楽頭のほうでは、原田甲斐と云わせたかったようだ。もちろんいやがらせにすぎないが、盃を受けたら、「主従のかためだ」などと云いそうであった。
「そうだ、いけなかった」と甲斐は口の中で呟いた、「あの盃は受けたほうがよかった、雅楽頭がもしそう云ったとしたら、そこから、訪ねて来た意図がさぐりだせたかもしれない」
甲斐の額に深く皺がよった。だが、そうせくことはない、と甲斐は思った。雅楽頭は怒った、たしかに、いくらかは怒ったようにみえた。おそらくこのままでは済まないだろう、わがままで癇癖の強い性質のようだ。必ずまたなにか仕掛けて来るにちがいない、必ず。甲斐は眼をつむったまま、微笑した。
「お気の毒ながら厩橋侯」と彼はまた口の中で云った、「貴方には従四位下の少将と、幕府閣老という枷がある。この甲斐をしめるにはその枷が邪魔になるでしょう」
そして彼は微笑した。
良源院へ着くと、玄関で柴田外記と出あった。伊達式部(宗倫)といっしょで、二人とも麻上下だった。いま帰るところらしく、住職や僧たちが出ていたし、従者たちが式台の下に控えていた。