Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lee 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.573 caracteres · 178 pantallas
そのとき番頭の忠助は、燭台を持って下から昇って来ました。これは三十五六の柄の大きい、ぼーっとした感じの男ですが、調子にはなかなか如才ないところがあります。
「ちょいとお邪魔いたします」
忠助は縁に吊した三つの提灯に灯を入れて、フト主人の方を振り返りましたが、
「旦那、どうかなさいましたか。ひどくお顔色が悪いようですが」
物々しく万兵衛の顔をさし覗くのです。
「先刻から胸が悪くて叶わないよ。酒は親方と一本あけただけだが」
「あっしは何ともありませんがね。何かお昼に召上がったものでも悪かったんじゃありませんか」
「さア、そんな心当りもないが」
主人の万兵衛は、額に脂汗を浮べて、真っ蒼な顔をしております。が、酒好きの佐太郎は、それに構わず、三本目の徳利を一人であけて、四本目が欲しそうな顔をしております。
その間にも万兵衛は胸をかきむしって苦しみ藻掻き、欄干に這い寄ると、大川尻の水の上へ、したたか吐きました。ところが、ひどく元気だった相手の棟梁佐太郎も、その頃から苦しみ始め、これも七転八倒の末、同じように吐いて、半刻ばかりのうちに、棟梁の佐太郎一人だけが死んでしまったのです。