Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Lee 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 154.788 caracteres · 299 pantallas

Aozora Bunko

私は別段妻を殺したら自分も死のうなぞと考えていたわけではなかった。死ぬのが恐ろしかったりあわよくば逃亡しようなぞと考えていたからでは毛頭もない。人を殺して逃亡したとてもどうせ旨々とその筋の眼を晦まして一生を安穏に送ることのできないのはわかり切っていることであったから、そんな手数のかかることをしようなぞとは毛頭も考えなかったが、さりとて自殺をしようというほどの判然たる意志を、固めていたわけでもなかった。今の私にとっては怨み重なる妻を――妻が私の妻と呼ばれることを厭うて、伯爵夫人を呼称しているならばそれでもいい。その怨み重なる伯爵夫人を――いかにして自分の気持の癒えるまで嬲り殺しにするかということだけが、今の私にとっては手一杯の問題で、そんな妻を殺した後の私自身の始末なぞはその場の都合でどうでもいいことなのであった。気が向けば自首して出てもいいし自首が間に合わずに逮捕されたとならば、それでも差し支えないし、また場合によって死にたくなったら自殺してもかまわぬし……万事その場の成り行きに任せるつもりなのであった。どうせ自首したからとて逮捕されたからとて、おそかれ早かれ死刑は免れぬところであってみれば、慌てて自分で拳銃なぞを自分の喉頸へ当てずとも、いつでも死ねるではないかという気持がしたからであった。