Clásicos japoneses con furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lee 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 154.788 caracteres · 299 pantallas
父が不具の子不愍さに、死ぬまで営々として働いて遺していった金を、湯水のごとくに蕩尽して妻の歓心を買い求め、しかも妻や召使たちから陰口を叩かれているとも知らずに、あんな犬屋にまで頭を下げて動物園と嘲られてもまだその女が諦め切れず、腹も立たなければ憎む気も起らない……いいや、憎むどころか腹が立つどころか! 今にもその妻がここへ現れて来たならば、またぞろ腑甲斐なくも父の遺産を捧げて平伏してしまうであろう自分の愚かしい心が――最早自分にはどうすることもできぬ私自身の気持が、言おうようもなくただムシャクシャして残念で無念で堪らなかったのであった。
頭を掻きむしりながら、私は机の上に突っ伏した。そこには洋罫紙一杯につい今し方まで、書いては消し消しては計算し直していた所有財産の見積りがあった。眺めてみると五十センチモでも一ペセタでも、税金を免れようとして一日中頭を搾り抜いていた自分の気持までが声を挙げて嘲笑いたくなってきた。自分を厭い抜いている女のためにやがて費い尽されてしまう財産ならば、百万ペセタ取られようが、二百万ペセタ課税されようが、五十歩百歩ではないか、という気がしてきたからであった。