Clásicos japoneses con furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lee 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 154.788 caracteres · 299 pantallas
ついに私は自分の扉の入り口に佇んだだけでは気が済まず、思わず二足三足跫音を忍ばせつつ……しまいにはその跫音を忍ばせることすら忘れて、妻の寝室の入り口近くまで歩を運ばずにはいられなかったのであった。そして到頭ある日の深夜であった。
「どうしたのようトリステサ、ホホホホホホ駄目じゃないの、ホホホホホホあらまあ! 呀っうううううう」
華やかな笑い声の中に、恍惚するような妻の呻きが交って、思わずギョッとして、私は顔色を変えた。相手は最早悲哀ではないのであった。妻の呻きは低く低く、甘く甘く、ほとんど聞き取れぬくらいに微かではあったが正しくこれは囁きであった。相手の声は聞こえなかったが、もちろんそれは犬ではない、確かに相手は人間なのだ! そしてこれでこそ読めた、なぜ妻があんなぶざまな犬なぞを自分の居間に飼っているかが……女の浅はかな知恵の正体を今こそ見破ったと、私は思ったのであった。トリステサと戯れていると人には思わせつつ、その実妻は男を引っ張り込んでいたのだ。そしてドローレスにそういう男があったればこそ、なるほどそれで俺はこんなにも嫌われ抜いていたのだ。
てっきり私はそう考えずにはいられなかったのであった。