Clásicos japoneses con furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lee 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 247.361 caracteres · 483 pantallas
さながら矢のごとくに流れる眼眩しさ! しかも波の色の毒々しいまでのドス黒さ! 黒泡の鬣を逆立たせつつ噛み合い掴み合い、狂い合い縺れ合いつつ矢よりも速く流れゆく凄まじさ! さながら悪魔のごとき相貌とも評すべきであった。舵の完全な船ですら、この潮流へはいっては、もはや抜け出ることは絶対不可能と目されているその潮流の只中へ、この瀕死のヨタヨタ船が悠然と入り込んでしまったのであった。もはや到頭行き着くところへ行き着いた気持で、死の前の休息にも似た気持で……しかもあまりの壮観さに一同死の運命の迫ってくるのを忘れて、ただ凝乎と波の色に眼を奪われていたのであった。
「どうせワイゲルト君! 我々の艦が外海へ出たからとて、はたしてこの状態で本国へ帰れるかどうかわかりはしないのだ! いっそここで死ねば本望さ! 死なねばむしろこの潮流の中へはいって流されているうちには、南亜米利加東岸を遡上して、かえってヒョッコリ欧州近海へ出られるかも知れないぜ!」と水雷長のスティンゲル大尉なぞは半分自暴自棄交じりのような楽観論を述べていた。そしてほかに別段の考えとてもなく自分も実はそう考えていたのであった。