Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.443 caracteres · 398 pantallas
その時、道江の顔にうかんだ変な笑い、それは自分に対する痛烈な軽侮の表現ではなかったのか。
かれは大巻一家を思い出すと、かならず道江を思い出し、道江を思い出すと、かならずそうした対話を思い出す。そのせいか、大巻への手紙はただ一回きりで、その後は父あての手紙に、大巻にもよろしくと書きそえるだけだった。
道江本人に対しては、かれははがき一枚も書かなかった。道江のほうから、それをうらむようなことをいって来たこともあったが、その返事さえ出そうとしなかったのである。
さて、塾の本館が落成したのは、翌年の一月半ばであった。それで住宅のほうもずっと楽になり、次郎は四畳半一間を自分の部屋に使うことができるようになった。そして二月はじめにはいっさいの準備がととのい、いよいよ第一回の塾生がはいって来ることになったのである。
塾名を「友愛塾」といった。
開塾の日取りが、次郎の中学卒業よりもわずかに一か月ばかり前になっていたのは、かれにとってくやしいことであったにちがいない。しかし、この半年ばかりの生活で、かれにはもう、自分はすでに塾堂とは切っても切れない縁を結んだ人間だ、という確信が生まれていた。