Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 200.443 caracteres · 398 pantallas
とか、「陛下」とか、「大御心」とかいう言葉で、自分の論旨を権威づけることに努力した。
「日本の国体をまもるためには、国民は、四六時中非常時局下にある心構えでいなければならない。恒久的任務と時局的任務とを差別して考える余裕など、少くともわれわれ軍人には全く想像もつかないことである。」
「大命を奉じては、国民は親子の情でさえ、たち切らなければならない。いわんや友愛の情をやである。」
「日本では、国民相互の横の道徳は、おのずから、君臣の縦の道徳の中にふくまれている。陛下に対し奉る臣民の忠誠心が、すべての道徳に先んじ、すべての道徳を導き育てるのであって、友愛や隣人愛が忠誠心を生み出すのでは決してない。」
およそこういった調子であった。
次郎はしだいに興奮した。ひとりでに息があらくなり、両手が汗ばんで来るのを覚えた。かれは、しかし、懸命に自分を制した。自分を制するために、おりおり、うしろから田沼先生と朝倉先生の顔をのぞいた。かんじんの二人の眼をのぞくことができなかったので、はっきりと、その表情を見わけることはできなかったが、のぞいたかぎりでは、二人とも、すこしも動揺しているようには見えなかった。