Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 159.223 caracteres · 320 pantallas

Aozora Bunko

むろんそう沢山食べるつもりではなかった。しかし、食べているうちにやめられなくなって、何度もナイフを入れた。

そのうちに、彼は、あんまり慾ばって食べたら父に軽蔑されはしないだろうか、と心配し出した。見ると残りがちょうど箱の半分ほどになっている。切口がでこぼこで非常に体裁がわるい。彼はそれを直すために、もう一度うすく切りとって、それを食べた。そしてナイフを箱の隅に入れ、蓋をした。

(やっぱり、僕は父さんの子だ。)

彼はその時しみじみとそう思った。しかしまた、彼は考えた。

(だが、どうして僕にだけ次郎なんていう名をつけたんだろう。恭ちゃんはお祖父さんの名から、俊ちゃんは父さんの名からとってつけてあるんだのに。)

尤も、この疑問は、これまでにもたびたび彼の心に浮かんでいたことなので、少し慣れっこになっていたせいか、さほどに気にはかからなかった。そして、いつとはなしに、彼は、カステラの箱をこのままここに置いたものか、それとも階下に持って行ったものかと、しきりにそのことを考えていた。

そのうちに、ふと、階下で人々のざわめく気配がし出した。

次郎は、はっとして、カステラの箱を小脇に抱えるなり、階段を降りて、大急ぎで離室の方に行った。