Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

Lee 母子叙情 (ぼしじょじょう) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 77.355 caracteres · 153 pantallas

Aozora Bunko

けれども、一たんむす子へ萌した尊敬の念は、あとから湧き起るさまざまの感傷をも混えて、昇り詰めるところまで昇り詰めなければ承知出来なかった。かの女は感心に堪え兼ねた瞳を、黒く盛り上らせてつくづくいった。

「なるほど一郎さんは男だったのねえ。男ってものは辛いものねえ。しかし、男ってものは矢張り偉いのねえ」

これには流石にむす子の鋭い小さい眼も眩しく瞬いて、「こりゃどうもそう真面目に来られちゃ挨拶に困りますねえ」

と、冗談らしく云って、この問題の討議打切りを宣告した。

かの女が、ほのかに匂っているオレンジに塗られたブランデーの揮発性に、けへんけへん噎せながら、デザートのスザンヌを小さいフォークで喰べていると、むす子がのそっと立ち上って握手をして迎える気配がした。かの女が振り向くと、さっきの片頬だけで笑う娘が靠れ框の外に来ていた。

「お邪魔じゃなくって」

「いいでしょう、おかあさん、この女」

「いいですとも。さあここがいい」かの女は自分の席の傍を指した。かの女に握手をして素直にかの女の隣に坐った娘は、

「お姉さま?」とむす子に訊いた。

「ママン」むす子は簡単に答えて、その娘が気だるげにかの女に対して観察の眼を働かしている間に、むす子は母親に日本語で話した。