Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lee 江戸情話集 (かごつるべ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 203.779 caracteres · 407 pantallas

Aozora Bunko

次郎左衛門は掛橋にも十五両やった。

掛橋が二階を降りると、やがてそのあとから便所へ起つ振りをして、治六も降りた。彼はすぐに茶屋を駈け出して、江戸町の角で掛橋に追いついた。

「八橋花魁、よっぽど悪いのかね。もしよくねえようだったら、無理に我慢して迎いをよこすことはいらねえ。きょうは引っ返してもいいんだから」

「馬鹿らしい」と、掛橋は笑った。たとい花魁の病気が納まらないとしても、茶屋からすぐに帰る法はない。こっちでも帰されるものでない。ともかくも一旦兵庫屋へ来て、花魁の様子を見届けて、ほかの座敷であっさりと飲んで、それから帰るとも名代を買うとも勝手にするがいい。花魁の容態の善悪にかかわらず、もう一度必ず迎いに来るから、それまでおとなしく待っていてくれと言った。そうして、彼女は「おお、寒」と、袖をかき合わせて駈けて行ってしまった。

治六は詰まらない顔をして仲の町の曲がり角に突っ立っていた。八橋の病気というのを幸いに、彼は日のあるうちに主人を連れて帰ろうと思ったのであるが、そんな浅薄なくわだては「馬鹿らしい」の一言に破壊された。

自分の相方の浮橋は茶屋の二階に来ているのであるが、彼はそんなことに係り合いのないようにぼんやりと考えていた。