Clásicos japoneses con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lee 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.609 caracteres · 362 pantallas
二十歳をちょっと出たぐらいな男で、百姓とも見えず、堅気でもなかった。小肥りで色はくろいが、棗みたいな丸っこい眼に、たくましい体とは不釣合な愛嬌をたたえている。三五兵衛は、その口にくわえている煙管を見て、
「火を一つ」
と、自分も、たばこ入れを出して、寄って行った。
だいぶ後になったお稲が来るのを、そこに待ち合せながら、三五兵衛は見まわして、
「若いの。たいそう馬が集まっているな」
「へい、あしたは、八王子に馬市が立ちますんで、甲州の博労が、たくさん上って来ております」
「馬市か、道理で」
「旦那あ、大菩薩から山越えでございましたか、やっぱり、馬市をご見物で?」
「いや」と笑って――「馬にゃ用はねえ、江戸へゆくのだ」
「でも、年に一度の大市、折角ですから一晩のばして、見ておいでなさいまし、江戸の者なら、なおのこと、いい土産話になりますぜ」
「たいそう勧めるな。そちも、その馬市へゆく博労か」
「いえ、あっしゃ、鍛冶屋の百というもんで」
「鍛冶屋がなんで馬の番をしておる」
「馬の番人じゃございません。こう、ぼんやりしているようですが、実あ旦那」と、百は後ろの藪の奥へ煙管をさして、