Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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どろぼうとわかとの

泥棒と若殿

山本 周五郎

Lee 泥棒と若殿 (どろぼうとわかとの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 20.601 caracteres · 41 pantallas

Aozora Bunko

「冗談じあねえ本当かいそれあ、本当になんにもわけあねえのかい」

「――いちどぐらいは、おれが煮炊きをして、伝九に喰べて貰いたかった、おまえにはずいぶんながいあいだ、世話になったから」

「やめたやめた、そんな水臭えこたあ聞きたくあねえ、おらあ横にならして貰うぜ」

伝九郎はそこへ寝ころび、手足をうーんと思いきり踏みのばした。――いつもそうして、その日の仕事場の出来ごとなどを話し、終りのほうは舌がもつれて、欠伸が欠伸につぐようになると、そのままそこで眠ってしまう。夜中になって気温の下るじぶん、成信が起して寝床へいれてやるのだが、その夜はいつもより早く、十時頃にはゆり起した。

「――さあ寝るんだ、風邪をひくぞ」

伝九郎は殆んど夢中のようで、這って夜具までゆくとそれなり、手足を投げだして眠りこけた。――成信はその寝姿を、やや暫らく見まもっていたが、裏庭の樹をわたる風の音を聞いて、われに返ったように立上った。――今だ、今ゆかぬと気が挫ける。

時が経つほどみれんが強くなる。朝までというつもりだったが。早いほうがまちがいなしと思い切って、なにもかもそのまま、立っていってすばやく身仕度をした。