Clásicos japoneses con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lee 清貧の書 (せいひんのしょ) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.061 caracteres · 36 pantallas
するとね、ああちんぴら絵描きは骨が折れるって云ったから、何をお高く止ってるンだ馬鹿野郎、ピンハネをしてやがってと呶鳴ってやったら、いきなりコップを額にぶっつけたンだ」
「マア、まるで土工みたいね、痛い?」
「硝子がはいったけど大丈夫だろう」
バンド代りに締めた三尺帯の中から、与一は十三日分の給料を出していった。
「日当弐円五拾銭だちって、こうなると、五拾銭引いてやがる。おまけに、会場の方は俺達の分を四円位にしといてピンを刎ねるンだから、やりきれないさ」
それでも、参拾円近い現金は、ちょっと胸がドキリとするように嬉しかった。
「でも、故意に喧嘩して、止めさせるンじゃないの?」
「そうでもないだろうが、皆不平を云いながら、前へ出るとペコペコしてるンだからね」
「そンなものよ」
久し振りに石油を一升買った。
灰色の石油コンロは、円い飛行機のような音をたてて威勢よく鳴っている。
二人は庭へ出て水を浴びた。
黝くなった躑躅の葉にザブザブ水を撒いてやりながら、何気なく与一の出発の日の事を考えていた。
「もう後六日で兵隊だねえ……」
「ああ」
「留守はどうしよう」
「参拾円近くあるじゃないか、俺の旅費や小遣いは五円もあればいいし、家賃は拾円もやっとけば、残金で細々食えないかい?」