Clásicos japoneses con furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lee 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 280.528 caracteres · 557 pantallas
小山は初期の県会に出たほどの人物で郡内きっての有力者だからという父の助言に従ったのである。屋敷は館林街道に面した千余坪という広大さで、表に長屋門を建てまわし、裏に三株の大欅が傘を差しかけたように母屋の屋根を覆うていた。その欅が雨雲の下にしきりに落葉しているのが妙に蕭条としたかんじだった。主人の孝八郎は、例の清国の媾和使李鴻章を下関で狙撃した小山六之助(本名豊太郎)の父であった。その事件のあったのは前年の三月二十四日のことで、天下を震撼させた狙撃犯人の父として人知れぬ心労も多かろうと、与八は蔭ながら推察して来たが、未だ五十にみたぬ彼は案外に元気で、濶達な態度で彼を招じ入れた。この家の先代の時分、田中正造もまだ兼三郎といって藍の買入れに地方廻りをしていた頃のことだが、しばしば正造が投宿したという縁故があった。孝八郎はそのことをいい出して、
「私の父は兼三郎、兼三郎といって、田中さんが非常に気に入りだった」
と、少年時代の記憶を語ったりした。また六年前、二十三年秋の洪水の後も、未だ早稲田の書生だった左部彦次郎が、正造の指図で一年近くこの家に逗留し、熱心に近郷の鉱毒調査をしたことも語った。