Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lee 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 132.395 caracteres · 263 pantallas

Aozora Bunko

雨が小止みになって、どこかの床の下で、地蟲がじいんと鳴いている。それも、成戸の顫えがやまぬ声も、三伝が、秘かに楽しんでいる復讐の前味のように思われた。そこへ扉が開いて、泥のように酔った、左枝八郎の姿が現われた。

「ホウ、こりゃなんとしたな。一家眷族が、残らず一堂に揃って、鉛色の顔をしておるが」

左枝の、支える側から流れてゆく、跫音のみが高く、この一座はあまりにも閑そりとしていた。お勢の、壁虎の背のような怨み深げな顔……、成戸の、打算に長けた白々とした眼も……苦々しく、打衝かり合うが、言葉は出ない。

「それは、三伝がね」

お悦はいまの話も、どうやら成戸の細工のように考えているらしい。

「あたいは、何が何だかいっこうに分らないんだけど、とにかく成戸さんが、ドロドロだって云うんだからね。莫迦にしてるじゃないの。高坂三伝が、三伝が生きてるんだって。三伝が、死んで四日目に銀行へ現われたんだとさ」

「そうか、ついでに何かと思ったら、お化け話か。三伝が、三伝が現われた、死んだはずの、高坂三伝が、蘇ったときたな」

異様なリズムを帯びて、唱い廻すような左枝の声が、ふと杜絶えたかと思うと、その、とろんとした物懶そうな眼に、なにやら真剣なものが輝きだしてきた。